<企業が抱えるジレンマ>
福島県内に14店舗を展開するドラッグストア「ハシドラッグ」。
ハシドラッグの橋浦希一社長は「できるだけ社員の期待にも応えて、賃金も上げていきたいと思うんですけども、一方で経費もどんどん上がっていきますから、そうなるとなかなか収益以上には(給与を)支払うことはできないので、そこが難しいところですね」と話す。アルバイトやパートが働くスタッフは、現在約200人に上っていて、時給の引き上げは簡単には決断できない。
<価格競争に一定の距離>
価格競争が激しいドラッグストア業界。
安さの競争から一定の距離を置き、雇用環境の改善につなげようと、5年程前から力を入れているのが“付加価値”に注目した食品売り場だ。ハシドラッグの橋浦社長は「私自身が日本全国を回って美味しいものを見つけて、メーカーさんと話をつけて、店頭に並べるという取り組みをやっていて」という。最近は1ヵ月で3000本の売り上げを記録した「長崎のカステラ」などヒット商品も生まれるようになった。
<売上向上のために>
商品への思いや特徴を伝えるポップにもこだわることで売上を伸ばしている。
橋浦社長は「少しでも時給を上げていくために、収益を上げていかなければいけませんからね。負担をまかなうためには収益を上げなければいけない。そのためにはお客様に喜んでもらわなければいけない」と話した。
<効力は秋以降に?>
「中央最低賃金審議会」は、過去最大の43円増とした前年度を上回る目安の引き上げを視野に入れている。
この中央の目安を踏まえ、福島県内でも議論が進められることになる。この最低賃金の行方について、日銀福島支店の中嶋支店長は7月1日の会見で「賃金と物価が上手く上がっていくことが求められている」という認識を示した。
中嶋支店長は「福島県は近隣の件と比べると、最低賃金の水準が宮城県や栃木県・茨城県よりも低いという所がある。多少の競争みたいのもあるかもしれないが、全体として賃金・物価が上手く上がっていくことが求められる局面だと思う」と語った。
高騰する物価にどこまで賃金の上昇が追い付けるか?その試金石とも言える最低賃金の行方が、例年以上に注目されている。
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